矛盾してないかい?<ルアーリング>
2016/02/12
■あれっ?よくよく考えてみると
ベルツノやクランウェルなどのツノガエルは待ち伏せ型のカエルといわれています。ほとんど動かない普段の様子を見ていると、確かに待ち伏せ型のカエルであることには間違いないのですが、餌を捕食する時に見せるルアーリングの姿と完全に土に潜ってしまう姿をよくよく考えてみると、なんか矛盾してないか?と思ってしまうのです。
■おしっこじゃないですよ、ルアーリングです
釣りをされる方は詳しいと思いますが、ルアーというのは疑似餌のことです。ベルツノガエルやクランウェルツノガエルは、餌をおびき寄せるために後ろ足を持ち上げ、足の指先をクニクニと動かし、いかにも小さな虫やミミズのようなものがいるような仕草をします。例えていうなら、実際に見たことはないのですが、チョウチンアンコウがチョウチンを揺らして魚をおびき寄せて捕食する行動と一緒です。我が家では野外で採集したカエルを餌として与える場合がありますが、その時、ベルツノガエルは見事なルアーリングを見せます。餌ガエルは狙われているとも知らずにベルツノの方へ歩み寄ってしまうか、ルアーリングしているベルツノの指先を「じぃー」っと眺めていると、瞬時にバクリッ!とベルツノに捕食されてしまうのです。
■完全に土に潜る場合も
見事なルアーリングを見せるベルツノガエルですが、ヤシガラ土など上手く潜ることができる床材がタップリ敷いてある環境で飼育していると完全に潜ってしまいます。どのくらい潜ってしまうかというと、地表に出ているのは目と顔の一部という状態まで潜ってしまうのです。具体的な様子はリンクしてあるHP「旧SJG」の「きゅー飼育日記」を見れば確認できますので、是非ともその様子を見てみて下さい。
赤玉土では床材の性質からか、完全に潜ることはできず、丁度、クレーターのような状態になっていますのでルアーリングもできます。しかし、完全に土に潜ってしまうということは、当然ながら後ろ足が土の中にある状態ですから、物理的にルアーリングをすることは出来なくなります。これは完全に矛盾している行動様式としか思えません。
■どちらも本当の姿なんでしょう
ルアーリングで餌をおびき寄せるベルツノガエルと、完全に地中に潜り目の前を通る餌を待ち伏せるベルツノガエル。どちらも実際に飼っていて見ることのできる生態ですので、矛盾しているようですが、どちらも本当の姿なんだと思います。つまり、ツノガエル達は自分が置かれている環境や状況に応じて、餌を捕食するための方法を選択し、逞しく生きているんだと思います。こんな小さな空間でツノガエルを飼っているだけでも、自然の驚異というものに驚かされてしまうのです。