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ツボカビ症と我々カエル飼育者

      2016/02/03

情報が少なかったカエルのツボカビ症

先週末の土曜日夜、某ニュース番組のトップ特集として扱われたのは、我々カエル飼育者と切り離すことのできないツボカビ症に関するニュースでした。
昨年12月に日本(アジア地域)で初めてツボカビの感染が確認されてから、その驚異的な危険性については広く知れ渡ることになりました。
しかし、今まで日本を含むアジア地域でのツボカビの感染例が無かったからでしょうか、日本で発刊されている愛好家向けのカエルの飼育書などにも、ツボカビによる衰弱死が存在する旨の記載はあるもの、具体的な症状やその驚異的な危険性などを言及しているものはなかったと思います。
某ニュース番組では、NUANCEの大津さんが取材を受けておられましたが、正に大津さんが番組の取材で言っていたように、ツボカビに関する情報が少ない、というのは正直なところだと思います。

我々ツノガエル飼育者は当事者であるということ

かくいう私もインターネットで調べた範囲で分かる程度の知識しか無いというのが実情ではありますが、某ニュース番組でツボカビ症を発症していたカエルとして映っていたカエルがバジェットガエルやツノガエルであった事実を考えると、あらためて、我々、ツノガエル飼育者として認識しなければならないことを書かさせて頂きたいと思います。

まず、我々ツノガエル飼育者が一番最初に認識しなければならないことは、「我々ツノガエル飼育者はツボカビ症問題の当事者である。」ということです。
好むと好まざるとに関係なく、我々はツノガエルというツボカビ感染の危険性を持った外来種のカエルを飼育しており、我々はツボカビ症問題の当事者になっているという事実です。
勿論、感染して約2ヶ月でカエルが衰弱死をしてしまうと言われるツボカビ症ですから、半年や1年以上も前から飼育しているツノガエルがツボカビ症に感染しているとは考えられないのですが、何らかのルート(ツボカビに汚染された水や、その水に触った手など)で感染する恐れは否定できません。また、新しい個体を手に入れた際には、十分なチェックと経過観察期間が必要です。

また、感染源として有力視され、感染しても発症はしないというアフリカツメガエルをツノガエルの餌として用いられている方もおられるでしょうし、餌用として販売されているウキガエルもツボカビのキャリアではないかという話もあります。

いずれにしても、ツボカビ症問題の当事者である我々は、ツノガエルを飼育している以上、ツボカビ症の危険性と対処に関する一定の知識を得、実践していく義務があると考えます。
乱暴な言い方かもしれませんが、そんな面倒な勉強はしたくないし、実践するつもりもないという方は、引き取ってくれる他の飼育者の方や獣医さんなどに相談し、潔くツノガエルをペットとして飼うことを放棄すべきだと考えます。

ツボカビ症の情報源と検査体制

ツボカビ症に関するインターネットの情報源は色々ありますが、WWF(世界最大の自然保護団体)の「カエルツボカビ症について」を一定のツボカビに関する知識を得る情報源としてお勧めします。
その中でも記載されていますが、我々愛好家のツボカビ症の検査は無料です。
そしてコア獣医師制度というものがあり、コア獣医師が近隣にいなくとも、近所の獣医師さんのところへ相談に行けば、コア獣医師を経由し検査機関にてキチンと検査をしていくという体制が整っています。
疑わしき個体が発見された際には、ためらうことなく近くの獣医師のところへ個体を持ち込むのが、我々、当事者としての義務だと思います。

あまり良い表現ではないのかもしれませんが、感染の発見から数ヶ月の期間において、損得抜きで、これだけの全国規模の体制が整備されたということは、それだけツボカビ問題が日本の両生類、しいては生態系に与えるインパクトの大きさを物語っています。
どうぞ、「うちのツノガエルは数年前から飼っている個体だから関係ない。」とは考えないで頂きたいと思います。
我々、飼育者がキチンと対応していかなければ、可愛いツノガエル達を飼えなくなる日が、そして日本のカエルやイモリ、サンショウウオなどが絶滅してしまう日が来るかもしれないのです。
ツボカビ問題の当事者として、知るべきこと知り、なすべきことをキチンとしていく意識と姿勢が、我々に求められているのは間違いないことだと思います。

カエルのツボカビを学ぶ講習会

NUANCEさんやワイルドスカイさんのHPに掲載されていますが、2月25日(日)に東京都港区のプラザ246にて、講師にザ・カエルの著者でもある田向健一先生を講師とした講習会が開催されます。
一般の方も自由に参加できるとのことですので、お時間がとれる方は、是非、参加してみては如何でしょうか。私も時間が取れれば参加したいと思っております。

◇カエルのツボカビを学ぶ講習会

日時:平成19年2月25日(日)14時~16時(開場:13時30分)

場所:東京都港区南青山3-1-1 PLAZA246(プラザ246) ホールP3-1

講師:田園調布動物病院 院長 田向 健一

内容
・カエルツボカビについて
・症状
・検査法
・検疫と消毒方法
・治療方法など
・質疑応答
・時間が余れば野生のヤドクガエルのスライド上映

詳細については、ワイルドスカイさんのページにてご確認下さい。

<<追記>>
「カエルのツボカビを学ぶ講習会」への参加については、私事のため、受講をすることが出来ませんでしたが、講習会に参加された、あいざわ様のサイト「live together」にて講習会参加レポート記事が掲載されております。
また、講習会にて配布された資料についても掲載されています。
著作権等の問題があるようですが、「営利目的でなければ配布OK」との連絡が関係者の方からあったようなので、「live together」の原文をそのまま引用させて頂き、以下に掲載させて頂きます。

ツボカビ症に関して、今現在で、一番正確な情報と思われるPDFファイルです。
以下のリンク先の情報に関しては、広めていただく事には問題ないそうですが、
営利目的利用は禁止されています。
また、文章改変等の行為は誤情報伝達の可能性が高くなる為、絶対に控えてください。

ツボカビ症に関する解説書
カエルのツボカビ検査の受け方

講習会に参加されたレポート記事を拝見すると、やはり我々カエル飼育者はツボカビ症問題の当事者である、という認識を持つべきという感は強まるばかりですし、淡水エビもツボカビ症に感染するという事も、重大な事実だと感じる次第です。


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