実録はじめの一歩(飼育用品の品定め・その5:マルチパネルヒーターの評価)
2018/11/10
■新たに購入したマルチパネルヒーター
今回、クランウェルツノガエルのために購入したヒーターはトリオの「マルチパネルヒーター ミニ 」です。ぴたり適温と同様の非常に薄いパネル部分を持ちながらも、温度を約25度~約45度まで(外気が常温の場合)の範囲で設定できるスグレモノのパネルヒーターです。
迎えたばかりのクランウェルツノガエルの飼育ゲージは、100円ショップのプラケースですが、いずれは現在ベルツノガエルを飼育している20cmキューブ水槽を活用することになると思いますので、ワンサイズ上の「マルチパネルヒーター ML 」とどちらにしようか悩んだのですが、MLのサイズが24cm×24cmと大きめであることと、約45度までの温度設定が可能ということで16cm×16cmのミニでまかなえるだろうという判断をしました。
では、その詳細な製品情報の飼育者の立場からご紹介しましょう。
■実際の寸法
まず、パネル部分の薄さは「ぴたり適温」と遜色なく、正確にノギスなどで測れば、若干、マルチパネルヒーターの方が薄いかもしれないと思うほどです。
本体サイズは16cm×16cmのサイズ表示となっていますが、ご覧頂くと分かるとおり、パネル部分の外寸が16cm×16cmで電源コード接続部を含めると最長部で20cm近くになります。
また、実際の発熱部(黒い部分)は約12cm×12cmで、回りは余白というか、平たい電線(グレーの部分)などが通っております。「ML」の方は外寸が24cm×24cm表示なので、発熱部は20cm四方、最長部で30cmぐらいになるのではないでしょうか。
設定温度の調節ツマミが一体となった電源コード接続部を測った画像がこちらです。約1cmほどパネル部分に干渉するような感じになっておりますが、発熱部には干渉していない設計となっています。
飼育ゲージを上に置く際には「ぴたり適温」のようにコード接続部分を避けて設置すると黒い発熱部がゲージで完全に隠れず、発熱面全てを有効に活用できないという問題はないでしょう。
■マルチパネルヒーターの憂鬱
しかしながら、この温度調節ツマミと一体となった電源接続部とパネル部分の接続方法にマルチパネルヒーターの唯一の欠点があります。画像を見ていただければ一目瞭然ですね。裏側が平面になっていないのです。
つまり、飼育ゲージを設置する棚や机などにマルチパネルヒーターをそのまま置いて、その上に飼育ゲージを設置するという方法が取れないのです。
ちょっと見難い画像ですが、クリックすると拡大しますので見てみて下さい。この裏面の段差は約4ミリほどあるのがご覧頂けると思います。これが厚さ約5mmのスポンジゴムを用意しなければならなくなる理由なのです。
このような感じで下にスポンジゴムを敷いた上でマルチパネルヒーターを設置しないと、その上に底面が平らな飼育ゲージを置けないということになってしまうのです。また、裏面の突起部を避けてスポンジゴムを敷くことになるので、ちょっと見た目が悪くなってしまいます。綺麗に設置するには厚めのコルクボードなどを用意して、裏面に突起している電源接続部のサイズを測り、ピッタリと収まるようにくりぬく必要があるでしょう。この点は是非ともメーカーさんに改善して欲しいところです。
■秀逸なのは温度の無段階式可変設定と通電ランプ
ただし、唯一の欠点を補って余りあるほど評価できるのは、やはり無段階式の温度可変設定機能です。温度設定ツマミには、L・M・Hと表示されていますが、カチっ、カチっという3段階の設定方式ではなく、温度調節ツマミはL~Hへスムーズに動き、狙った温度に設定できます。
また、黒い発熱部が発熱している最中は温度調節ツマミの横に配置されている通電ランプが赤く点灯します。この通電ランプが無い「ぴたり適温」では冬の寒い時期などは、キチンと発熱が機能しているのかどうか、たびたび不安に駆られるものがありましたがそんな心配も無用です。
■マルチパネルヒーターの評価
現在、クランウェルツノガエルの飼育ゲージは、マルチパネルヒーターの温度調節機能を使って24度~26度の間をピタリと狙って設定できています。通電ランプのおかげで、ランプが点いたり消えたりするのを目で確認しながら微妙な温度設定操作を温度調節ツマミでできるのです。裏面が平らでないという唯一の欠点はありますが、スポンジゴムを下に敷くことで簡単に問題も解消できます。
パネルヒーターを飼育ゲージの下に敷くという形式でベルツノガエルやクランウェルツノガエルを飼う場合、狙った温度にキチンと設定できるという、ヒーター本来の機能を十二分に満足してくれるパネルヒーターとして、「マルチパネルヒーター 」は「ぴたり適温」よりも機能は高く、「現状、ベストなパネルヒーターである」と私は判断する次第です。